「オタク」と「オタクっぽい」は区別する必要がある
「オタク」と「オタクっぽい」は区別する必要がある、というタイトルを見返して「何を当たり前のことを…」と自分でも思っているのですが、この辺の区別がどうも曖昧になるときが自分の中で多いなあと気づいたので、ちょっと整理しておこうと思います。
内面を指す「オタク」
まずは「オタク」を定義するところから始めましょう。
おたく(オタク、ヲタク)とは、1970年代に日本で誕生した呼称であり大衆文化の愛好者を指す。元来はアニメ・SF・パソコンなどの、なかでも嗜好性の強い趣味や玩具、の愛好者の一部に使われていた術語であったが、バブル景気期に一般的に知られはじめた。その頃は「お宅族」、「オタッキー」、「オタッカー」と呼ばれた。明確な定義があるわけではなく、現在はより広い領域のファンを包括しており、その実態は一様ではない
(Wikipedia「おたく」
Wikipediaではこんな感じになっています。「大衆文化」とか「嗜好性の強い趣味や玩具」とかもちゃんと定義しなければならない気がしますが、まあ皆さんの中にも「オタク」のイメージがあると思いますので、それに甘えて話を進めさせて頂きたいと思います。
僕が「オタク」という言葉を初めて知ったのはたぶん小学生のとき(2000年代)で、当時ぼくは「オタクになりたくない」と思っていました。「オタク」という言葉を蔑称として受け取っていたということです。
「オタク」という言葉が指し示す範囲は広範だけれど、とにかくその指し示すものを皆が気持ち悪がっている空気は感じてとれました。
さて、「大衆文化(嗜好性の強い)の愛好者」というだけでは、別に気持ち悪がられる必要はありません。なぜオタクは気持ち悪がられたのかというと、「オタク」=「外見が気持ち悪い」というイメージが定着したからです。
(「気持ち悪い」という言葉は、何でも一刀両断できる言葉で恐ろしいなと思ながらこの記事を書いています。)
いわゆる「オタク」に、気持ち悪い外見をしていた人が多かったかどうかは分かりません。「気持ち悪い」を定義することからはじめ、1人1人気持ち悪いか気持ち悪くないかを断定するところから始めなくてはなりません。良心がオーバーヒートします。僕には無理です。
で、僕が小学生くらいまでは、この「内面」と「外見」が結びついていて、「オタク」は「気持ち悪い」という意味を含む蔑称だったというように思います。
外見を表す「オタクっぽい」
ところが、僕が中学生・高校生に上がるあたりから、どうも「オタク」の意味合いが変わってきているなあと感じています。もしかすると、僕が気づいていないだけでもっと前から変化が始まっていたのかもしれないですが。
ニコニコ動画に「踊り手」と呼ばれる人たちを目の当たりにして、僕は「オタクは気持ち悪くない」という風に感じました。いわゆる「リア充」風の格好をした男女が、当時のオタク文化の中枢的存在であったボカロの曲に合わせて踊っているのです。
彼らは、自分のことを「オタク」だと自称します。「大衆文化(嗜好性の強い)の愛好者」という定義でいくと、当てはまることになります。こういう人たちがわんさか現れたことによって、「オタク」は外見と内面の両方を指し示す言葉であったのに、徐々に切り離され始めることになりました。
こうして、「イケメンなオタク」というのが、何の矛盾もなく(言う方は多少、オタク=気持ち悪いも残しているだろうけど)使われることになりました。
ただ、「オタクっぽい」というのは、「気持ち悪い」が先行する言葉として残っているなあという印象があるのです。あくまでも僕が感じる範囲では、ですが。
ところで、僕は数日前に、こんなツイートをしました。
オタクは多様化してきているけれど、「オタクっぽい」という言葉は蔑みを表す言葉として通用するなあと思っていて。どういう人がオタクっぽいかというと、太ってて、天パで、メガネをかけてる人かなあという風に考えた。僕だった。
— あとーす@文フリ福岡10/25 (@ATOHSaaa) 2015, 8月 7
この辺りで、「そうかオタクっぽい」は外見だけに注目している場合が多いんだと気づきました。
また、こんなツイートもしました。
「私の趣味、ちょっとオタクっぽいんだよねー」と楽し気に話していた女の子が後日「私、○○君のことはオタクっぽいから嫌い」と言っていたのを聞いて何も信じられなくなった
— あとーす@文フリ福岡10/25 (@ATOHSaaa) 2015, 8月 7
ここで少し考えたいのは、「私の趣味、ちょっとオタクっぽいんだよねー」というのは、自分の趣味=内面について語っているわけです。ここでは、「オタク+ぽい」で「オタクっぽい」になっているのだと考えます。
しかし、「私、○○君のことはオタクっぽいから嫌い」というときの「オタクっぽい」は外見を表しており、「オタク+ぽい」とは異なる、独立した形容詞みたいな働きをしているのではないかなと思いました。形が同じなので、区別してもあんまり意味がないんですけどね。
そういえば、似たようなことを以前他のブログで書きました。「~したさある」に代表される「さある形」についてです。
とは言ってもあまり関係のある話では無いので、興味のある方は読んでみてください~。
まとめ
ふわっと思っていることを、とりあえずふわっとまとめてみました。
「オタク」の持つイメージは段々と変わりつつありますよね。美少女アニメ好きでも、昔ほど気持ち悪がられない世界になったように思います。
ただ、「オタクっぽい」という単語は、以前の「オタク」イメージをそのまま引き継いでいるように思います。他人に「オタクだね」というのはセーフだけれど、「オタクっぽいね」はアウトじゃないかなと思っています。あくまで、個人的に。