あとーすログ

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舞城王太郎『ビッチマグネット』を読んだ

これは良かった。舞城王太郎『ビッチマグネット』。こんにちは、あとーすです。

 

舞城王太郎という作家を知ったのはつい最近のことで、始めて読んだのは文庫版の『みんな元気。』です。去年の夏頃だったような気がします。表題作を含めて3作品を周力しているのですが、ぶっちゃけた話をすると超つまらなかったんですよね。一番長かったのが表題作なので、表題作の話をしますと、家族を主題に書いているんだろなあというのは分かるんですけど、手法が独特で読んでて意味が分からないんですよね。これは僕の読解力不足に起因しているのかもしれないのですが、あれを面白いと思う人はどういうところを面白く読んだのでしょうか。気になります。

みんな元気。

みんな元気。

 

 

ところが、『ビッチマグネット』はとても面白かったです。基本的な部分は確かに『みんな元気。』に似ているところもあるのですが、圧倒的に情報が整理されているしわかりやすいなと思いました。もしかすると、そういう風に整理することで舞城王太郎らしい何かが捨てられているのかもしれませんが、まあそれは3作目を何か読んでから判断することにしようかなと思っています。

『みんな元気。』と『ビッチマグネット』をどちらも読んで思うのは、時間の進め方が本当に唐突だということ。会話文を中心としてほんの数時間は数日のことをギュッと書いて、突然3行くらいで一気に1年経っていたりする。しかも、そこには結構人生において重要なことが書かれていて、たとえば大学に入学したとか、初めて彼氏ができたとか、初体験をしたとか、ええそれは小説の材料になることじゃないんですかーーーー。みたいなことです。それを軽やかに捨てて、小説の本題に正しく向き合って書いているというのは非常に面白いというか、読んでいると無駄なことばかり書いているような気がするのですが、無駄なことはもしかすると綺麗さっぱり捨ててしまっているのかもしれません。

 

あと、『ビッチマグネット』を読んでいると、お前ははてなブロガーかよとつっこみたくなる瞬間が何度か訪れます。散文ではあるんだけど、小説ではなくて、じゃあ何かというとブログに近い。それも、ちょっと頭のいい人が書いたはてなブログの記事。言葉を定義したがって、その定義に従ってどんどんと筆を進めていく、みたいな。そんな感じです。

 

いや、もう、とりあえず読んでみてください。今回は以上!

 

ビッチマグネット

ビッチマグネット