「雨谷 ハル」さんの140字小説を「篠原 歩」風に書き換えてみた
こんにちは、あとーすです。
いつも、篠原 歩という名前で140字小説を書いています。
そして、僕の大好きな140字小説作家に雨谷 ハルさんという方がいるのですが、今回なんと幸福にも雨谷さんの140字小説を篠原流に書き換えていいよというお許しを得たので、ここから先は僕が好き勝手に遊ぶターンです。どうぞよろしくお願いいたします。
夜、夢を見ていたら、私は高校生になっていた。先日結婚式で再会した友人が若くて、時間が戻っているのだと思った。チャイムが鳴る前に、私は教室を出た。この時間は彼が裏庭にいること、もう10年も経ったのに覚えてる。彼が私に気付く。今でも目が合ってそれだけでいいなんて、甘すぎて溶けそうだ。
— 雨谷 ハル (@_amgyhar_) 2016年10月23日
高校生へと退化を遂げた夢の中。結婚式の二次会で泣いてたあの子が、隣の席でまだ最高な少女のままだった。チャイムが鳴る前に教室を出る。10年経っても、彼はまだずっとあの裏庭にいた。振り返って瞬き合う視線。それだけで十分なんてなんの冗談と思うけれど、その駄菓子みたいな甘さが愛しかった。
どこまでも知り尽くしたこの町で、僕らはこれからも生きていく。幼い頃に指切りをした未来も、高校生の頃に君が都会へ憧れた涙も、全部知って分かっている。僕もこの空気に守られて生かされてきた人間だから。町が見渡せる山の頂上、変わらない2人の秘密基地。あの頃とは違う僕らで、将来を誓い合う。
— 雨谷 ハル (@_amgyhar_) 2016年10月23日
知らない人のいない町で、僕らはずっと生きていく。幼い頃に指切りした未来も、青春の君が都会へ憧れた涙も、ひとつ残らず覚えている。町が見渡せる小さな山の頂上、草の生い茂る2人だけの秘密基地。まだ清純な君と僕をこの町が庇護してくれている。あの頃と違う僕らで、ひっそりと将来を誓い合おう。
(これ、書き換えながら「『君の名は。』を思い出して書いたな…」と思いました。違ってたらごめんなさい。)
大人になって綺麗になったとしても、それがなんなの。私が確かにあなたを好きだったのは、制服を着ていた頃なのだから。今更嬉しい言葉をもらったとしても、私は精一杯あなたを嫌いになるしかない。あの頃の私があなたを思っていたように、今度はあなたが反芻していればいいよ。憎むなら過ぎた時間を。
— 雨谷 ハル (@_amgyhar_) 2016年10月21日
垢抜けた私に目をつけた君が嫌いだ。私が好きなのは、制服を着ていたときの君だけ。今さらなその愛情はすでにごみなので、あの頃の私みたいに消化できないまま反芻してヘトヘトになってください。憎しみの主体は私と君で、客体は長すぎる空白の五年間だ。恋慕は賞味期限付きだし、すぐに腐ってしまう。
以上、三編の140字小説を書き換えてみました。
他の方の文章を自分なりに書き換えようとすると、何が「自分らしさ」なのかということが、少しだけわかるような気がします。特に雨谷さんの140字小説は物語がしっかりとしているので、それをどこまでぶち壊して言葉のリズムを生み出すかということに今回は心血を注いだように思います。いやはや本当に、ぶち壊して申し訳ありませんでした。