あとーすログ

熊本でWebディレクターをしています。文芸、演劇、カメラ、インターネットが好きです。

「モノ」ではなく「情報」にお金を払うのに抵抗があるんだと気付いた、久しぶりに写真を現像した日

僕はあまり電子書籍を読まない。これまで購入した電子書籍は3冊ほど。あとは、Kindle Unlimitedの体験版で数冊読んだ程度だ。
 

電子書籍を読まない理由

 
電子書籍を積極的に読まない(購入しない)のには、主に3つの理由がある。
 

①所有できない

僕は本を「情報」ではなく「モノ」として捉えている面がある。だから、書影をTwitterやInstagramに上げるのが大好きだ。
ところが、電子書籍で得られるのは「情報」だ。これでは、僕の所有欲を満たすことができない。
 

②買いすぎてしまう

就職してからクレジットカードを作った。それからAmazonで書籍を買うんだけど、読んでもないのにどんどん買ってしまう。
 
紙の本だったら家に届くのでまだ自制できるのだが、恐らく電子書籍を買うことにしたら最後、湯水のようにお金を使ってしまうだろう。しかも、購入した本のほとんどは読まれない。
 

③読みづらい

基本的にはスマホで読んでいるんだけど、やっぱり紙の本に比べると圧倒的に読みづらい。
 
テキスト中心の書籍だったら、文字の大きさを変えたり出来る。ただ、これまで読んだ本は図版等が多数入っているものだったので、いちいち拡大する必要がありました。数ページ読む程度だったら大丈夫なのですが、100ページを超える書籍を読むのはストレスがたまりました。かと言って、等倍で読むのも目が疲れるし…。
 
ただ、この現状を打開してみようと、AmazonでセールをしているときにFireタブレットを買ってみました。通常は8980円なのですが、5500円引きの3480円だったので、まあ使わなくても良いかくらいの気持ちで、つい。
 
数日使ってみたところ、こちらはなかなか悪くない。ただ、スマホとは別に端末を持ち運ぶのが面倒くさく、充電するのはさらに面倒くさい。iPadくらい色んなことができると充電したり持ち運んだりするモチベーションもわいてくるのですが、こちらは基本的に電子書籍を読むだけの端末(プライムビデオを見たりもするけど)。
 
さらに、SIMカードが差さっているわけでもポケットWi-Fiを持っているわけでもないので、家以外では事前にダウンロードしていたコンテンツしか閲覧できないというのがやや不便。
 
というわけで、今でも充電切れのままで自宅の机の上に放置されている。
 
 

結局、「モノ」以外にお金を払うのに抵抗がある

以上の欠点は、決して電子書籍の欠点ではない。特に「買いすぎてしまう」については僕の自制心が働けばいいだけの話だ。そうでなければ、電子書籍はとても便利なものになるだろう。
 
実際、電子書籍市場はここ数年で伸びているという話も聞く。少し古いデータだが、株式会社インプレスの調査によると、2015年度の国内電子書籍の市場規模は1584億円となっている。もちろん、その中でコミックが8割を占めるなど紙の書籍とはやや違う事情があるわけだが、それでも順調に電子書籍は普及しつつある。
 
ただ、ここまで便利ないまいち普及しきれないのは、やはり「モノ」に対してお金を払うことに抵抗があるからではないかと考えている。
 

誰も写真を現像しない

そんなことを考えたのは、先日、仕事の用事で写真を現像していたときのこと。そういえば、写真を現像するなんて10年ぶりくらいじゃないかということに気づいた。
 
小学生の頃までは親が撮った写真を現像してアルバムに貼り付けて整理していた。そういえば、中学生のときに行った修学旅行の写真は、ちゃんと現像して保存してある。
 
しかし、それから10年ほどは本当に1枚も写真を現像していなかったことに気付いた。先日一眼レフを購入したが、それで撮影した写真も現像しようという気が少しも起こらなかった。PCに取り込んで、SNSに投稿したり画面上だけで楽しむのみ。
 
これは単純に、写真に対する意識が変わったからだと言えるだろう。フィルムからデジタルへの変貌を遂げても、写真はまだ現像するものだったように思う。しかし、スマホである程度高画質の写真を撮影することができるようになり、さらにそれをSNSやメッセージアプリで簡単に共有することができる。保存することもできる。となると、わざわざ現像する必要がなくなってしまうのだ。
 
さて、ここで。例えばの話だが、写真を誰かに共有するときに、現像するときの同じ料金がかかっていたら? 恐らく、これほどまでに写真を現像する文化が廃れてしまうこともなかったと思う。しかし、実際には無限の写真を私たちは共有することができる。現像された写真という「モノ」に対してはお金を払い、「情報」であるデータの写真には、お金を払う必要がない。この点が重要なのではないだろうか。
 
「情報」だけを売るサービスとしては、動画の定額見放題サービスとか、音楽のダウンロード販売とか、インターネット以前で言うとCS放送とか色々なものがあるけれど、ある程度の成功を収めているようには見える。
 
しかし、それはやはり大多数にはなりえない。テレビを無料で見るし、YouTubeを使って無料で聴く。それをしない、一定数の人たちからお金をとることができれば良いのだ。だから、電子書籍もそうなればいい。
 
ただ、電子書籍が紙の書籍よりも一般的になるためには、この「情報」にお金を払うのに抵抗がある、という精神構造がゆっくりと改善される必要があると思う。もちろん、そんな精神構造はすでに破棄してしまっているという人もいるだろう。しかし、それは僕個人の問題として、あるいは社会全体の問題としてまだ厳然と存在している。