僕は仕事ができない

熊本でWebディレクターをしています。文芸、演劇、カメラ、インターネットが好きです。

社会人として演劇をするために考えておきたいこと

奇特なことに、社会人になって忙しいのに演劇をやっている人がたくさんいる。僕もその一人だ。この記事は、社会人から演劇を初めてみたい、あるいは学生時代にやっていた演劇をこれからも続けたいという人に向けて書かれている。

 

 

これから演劇を始めたいと思っている人へ

まずは、社会人になって新しい挑戦をしようと思い、なぜか演劇という道を選び取りそうになってしまっている人へのアドバイスだ。

恐らく、あなたは「役者」をやりたいのだと思う。別に照明や音響や舞台監督をしたいならそれでも構わないが、「社会人から演劇を始めたい!」と言って裏方志望だった人を僕はあまり見たことがないので、ここでは除外しておく。

社会人から演劇を始める方にとって最大の疑問は、「どうやったら演劇を始めることができるだろうか?」ということだと思う。

これについての答えは大きくわけて二つ。一つは、団員を募集している劇団にコンタクトをとること。もう一つは自分で劇団を作ること。後者は仲間が集まらないしお金がいくらあっても足りないしお客さんも集まらないので、僕はなるべく前者の方法をとることをおすすめしている。

都市部の方は知らないけど、たぶん地方の劇団は普通にWebサイトとかで団員を募集していると思う。僕は熊本に住んでいるんだけど、熊本の劇団は大抵どこも人を募集している。引く手数多だ。好きな劇団を選ぶという。

とはいえ、どんな劇団があるのかわからないと思うから、まずはその劇団の公演を観に行くのが一番いいだろう。こりっちというサイトを使えば、全国の公演情報を手に入れることができる。自分が住んでいる地区でソートして、気になる公演を見つけてみよう。

stage.corich.jp

ここで、「アマチュア劇団の公演に数千円も払うの?高くない…?」と思った人もいることだろう。そういう人は演劇をやるのが今後どんどんつらくなっていくと思うので、早めに他の趣味を見つけよう。

 

社会人として演劇を続ける

ここからは、社会人になって初めて演劇を始めるという人も、学生時代にもやっていた人も、どちらも対象として話をしていこうと思う。

基本的には、演劇以外に本業があって、役者としてはぜんぜん収入がない状況を想定している。本業を捨てて役者一本で食っていきたいという人は、他のライフハックがあると思うので、「いつ見ても波瀾爆笑」とか「幸せボンビーガール」で役者がゲストの回を見ることをおすすめする。

 

本番に出ることができるか?

役者として一番求められるのは、演技力でもやる気でもなくて、まずもって「本番に出ることができるか?」ということだ。当たり前のことだが、ここを忘れてがむしゃらに頑張ると、頑張りが水の泡になりかねない。

基本的には仕事の休みというのは土日だろうから、それにあわせて公演を打つような劇団を選ぶのが良いだろう。ここで、仕事の休みが土日固定ではないような仕事だと、演劇をするのは難しいかもしれない。また、場合によっては公演前日の仕込みから手伝う必要がある場合も多いと思うので、有給が取りやすい環境の方が良いと言える。

土日の休みが固定だとしても、突発的に土日が仕事になるようであれば、演劇は少し考え直した方がいいかもしれない。演劇の本番と仕事であれば、仕事を取らざるを得ないような場面というのも想定できる。そうなってしまっては、他の団員にも楽しみにしているお客さんにも迷惑をかけてしまうことになる。

 

稽古に出ることができるか?

本番に出るためには稽古に出なければならない。先に言っておくと、稽古に全く出なくても本番に出る場合というのは想定できる。何か一言だけ言って去るとか、ずっと黙って舞台の隅に座っているとか、そういう役であればチャンスはある。しかし、大抵の場合は稽古をしなければ本番に出ることはできないだろう。

社会人として稽古に出るのであれば、基本的には終業後と土日に稽古を行うしかない。社会人ばかりが所属している劇団であれば、そのあたりはスケジュール調整が行われていると思う。

例えば平日の稽古時間が夜8時以降からだったとして、定時の5時や6時に会社を出ることができれば稽古に参加することができる。しかし、職種によっては定時退社が難しい場合も。僕はまさしくこれで、平日は仕事で夜遅くなることが多く、なかなか稽古に参加することができない。参加できたとしても、最後の1時間だけ参加したりすることも多いし、下手をすると他の出演者も巻き込んで深夜遅くまで稽古することになったりもする。すると、自分が体力的にも精神的にもきついのはもちろんのこと、他の人にも同じつらさを強いることになる。このことは、覚えておいた方が良い。

平日に十分な稽古ができないのであれば、休日は多くの時間を演劇に捧げなければならないだろう。公演前は、数週間・数ヶ月間というスパンで全ての土日を稽古に使わなければならない場合も出てくるかもしれない。当然、他の趣味に割くことのできる時間はグッと減ってしまう。

 

セリフを覚えることができるか?

ここまで書いて僕はもう絶望しかけているのだけど、やるべきことはまだある。セリフ入れだ。セリフを入れなければ、稽古も満足に行うことができない。もちろん、セリフの言えない役者は本番で必要とされていない。ただでさえ仕事と稽古で時間がないのに、その合間を縫ってセリフを覚えなければならないのだ。自分のために割くことができる時間はどんどんと減っていくということを覚悟しておくといい。

セリフの覚え方については以下のような記事を書いたので、これから演劇を始めるという人は参考にしてほしい。

 

atohs.hatenablog.com

セリフなんて覚えられる人はちゃちゃっと覚えることができるのだろうけど、僕は死ぬほどセリフ覚えが悪いので死ぬほど時間がかかる。だから、自分が暗記力のいいタイプかそうではないかというのは、社会人として演劇をやるために割りと大事な要素になる。

 

演劇にどれくらい時間を割けるか?

結局のところ、自分の時間をどのくらい演劇に割けるのかということが重要になってくる。1日は24時間しかないし、1週間は168時間しかない。その中で僕たちは仕事をしなければならないし、食事をしなければならないし、睡眠をとらなければならない。他にもやらなければならないことはたくさんある。その中で、自分のために使える時間がどれだけ残るだろうか。そしてその自分の時間の中から、どれだけを演劇のために捧げる覚悟があるだろうか。そのことは、社会人として演劇をやる前に考えておいた方がいいことだと思う。

 

まとめ

要するに、社会人として演劇をするのは時間が足りないし、自分の時間をかなり捧げなければならないということだ。そこまでして演劇をやりたいのかということを考える必要がある。

もちろん、考えてみてわからなければ、とりあえず始めてみるのもいいだろう。時間的に厳しかった、自分の時間がなくなって楽しくなくなってしまった、などと感じるのであればそこでやめればいい話だ。

ただ、いざ始めてしまうと「このタイミングでやめるのも…?」という気持ちが首をもたげてくると思うので、ここに書いたようなことを定期的に思い出してみてほしい。