小説家になろうのジャンル再編成で注目すべき点(あるいは、異世界転生モノ終了のおしらせ)
はじめに断っておきますが、僕はなろうユーザーではありません。しかし、ネット界隈でもりもりと小説を生成したきた私としては、小説家になろうが小説投稿サイト界に君臨する老舗サイトだということは知っています。あと前言を撤回するようで申し訳ないのですが、今確認してみると何作か投稿したものが残っていました(しかし、特に活動はしていません)。
さてさて、本日12/21、小説家になろうが【重要】と銘打っておしらせを出してきました。
現在の小説投稿サイト御三家を僕は「小説家になろう(なろう)」「E☆エブリスタ(エブリスタ)」「Pixiv(ピクシブ)」だと思っているのですが、正直あまり操作性に違いはないと感じています。もちろん細かな違いがあることはわかっているのですが、小説を投稿してそれに評価をもらえる、という仕組みはだいたい一緒。
だからこそ、「ジャンル分け」は非常に重要な要素です。小説投稿サイトを選ぶポイントの一つに、「そこにどんな小説が集まっているのか」ということが挙げられるでしょう。たとえば異世界転生系の話が好きならばなろうに、二次創作が好きならピクシブに、エブリスタは…なんだろう?
とにかく、他にはたとえば携帯小説系は野いちごだったりと、それぞれのサイトに特徴や雰囲気があります。そして、この特徴や雰囲気というのは、主にユーザーが作るものです。もちろんベリーズカフェのように、初めから大人の女性向けの小説をサイトテーマにしているところもありますが、なろうに異世界転生系の小説が集まっているのは、ユーザーがそういう雰囲気を作り出した結果だということができるでしょう。
その特徴や雰囲気というのは、ある程度「ジャンル分け」の方法でコントロールすることが可能だと思っています。
たとえばクランチマガジンのカテゴリ分けが特徴的で、まず「ジャンル・形式」を以下の形から選ばせます。
- 短編小説
- 中長編小説
- エッセイ・詩文
- 詩歌・俳句
- 評論・批評
- イラスト
- 漫画
- 写真
- インフォグラフィック
続いて、「気持ちカテゴリ」というものを以下のようなものから選ばせます。(全体では16のカテゴリがあります)
- 感動したい-ドラマ
- くつろぎたい-日常・平和
- ゲラゲラ笑いたい-コメディ
このカテゴリ分けからは、従来の「恋愛小説、ファンタジー小説、SF小説、…」というカテゴリから脱却しようという意図が感じ取れます。もちろん、「恋愛」や「ファンタジー」といった言葉を含むカテゴリも存在するのですが、「気持ち」にフォーカスしている点が新しいと言えるでしょう。
小説家になろうのジャンル再編成
前置きが長くなってしまいましたが、小説家になろうのジャンル再編成で個人的に注目している点を挙げていこうと思います。
まず、従来の小説家になろうのジャンルを確認しましょう。
- 文学
- 恋愛
- 歴史
- 推理
- ファンタジー
- SF
- ホラー
- コメディー
- 冒険
- 学園
- 戦記
- 童話
- 詩
- エッセイ
- リプレイ
- その他
「詩」とか「エッセイ」はスタイルの話なので、恋愛が主体の詩やエッセイやどうすればいいのかと思いましたが、まあ他の投稿サイトでも似たような分類がされるので置いといて…。
それが、以下のように変わります。大きく変更されたのは、まず大ジャンルがあって、その下に小ジャンルがあるということです。
- 恋愛
- ファンタジー世界
- 現実世界
- ファンタジー
- ハイファンタジー
- ローファンタジー
- 文芸
- ヒューマンドラマ
- 歴史
- 推理
- ホラー
- アクション
- コメディー
- SF
- VRゲーム
- 宇宙
- 科学
- パニック
- その他
- 童話
- 詩
- エッセイ
- リプレイ
- その他
削除されたカテゴリは「学園」と「戦記」。「戦記」はなんとなく消えるのも分かるのですが、「学園」は人気も高そうなので、消えてしまうのが少し不思議ですね。他の要素(例えば「恋愛」や「推理」)なんかに吸収できると考えたのでしょうか。
あと、「文学」というカテゴリが消えたのは良いことなのではないかと思います。なんか、「文学」って銘打つと書く方も読む方も身構えてしまいませんか? 受け皿は「恋愛」や新設された「ヒューマンドラマ」辺りですかね。「歴史」も含めていいでしょうか。「推理」で文学っぽいものも、まあ…。
さて、新設された大ジャンル毎に、気になる点を挙げていこうと思います。
恋愛
小ジャンルを「ファンタジー世界」と「現実世界」に分けたのが面白いですね。大ジャンルに「ファンタジー」があるのに、恋愛の下に「ファンタジー世界」があるのは、何だか少し変な気分です。
taskeyのように一つの作品に2ジャンルまで設定できるようなサイトも多いですが、なろうはあくまで1作品1ジャンル。それを守るための苦肉の策といったところでしょうか。ところで、ファンタジーで恋愛が主題の小説って多いのでしょうか…?
ファンタジー
「ハイファンタジー」と「ローファンタジー」に分けるのは、ありそうでなかった発想なのではないかと思います。
文芸
そもそも「恋愛」もここに入るべきだと思うのですが、小ジャンルとして「ファンタジー世界」を入れるために仕方がなかったんでしょうね…。と考えると、やはり「ファンタジー×恋愛」というのはなろう内で勢力が強いのでしょう。
「ヒューマンドラマ」が万能ジャンルになりそうですね。大ジャンルも小ジャンルも「その他」に入れてしまうと日の目を見なくなってしまうので、迷ったら「ヒューマンドラマ」に入れておくのが無難でしょう。
SF
小ジャンルに「VRゲーム」があるのが斬新だなと思いました。邪推ですが、そっち系のスポンサーがついていて、コンテストを開催するつもりなのでは…! まあ、そいういうコンテストがあった方が盛り上がっていいですけどね。
「パニック」は「ホラー」とのジャンル分けが少し難しいかなと思わなくもないですが、あまり問題ないでしょう。
その他
小説以外は全部ここ! みたいな感じがありますね。
登録必須キーワードについて
そして、最後まで読みすすめて一番マジかよ…!と思ったのが「登録必須キーワード」について。なろうには以前から「警告タグ」というものがあって、
という4つの要素を含むものについては、該当するタグを付ける必要がありました。しかし、今回それが「登録必須キーワード」というものに代わり、そこに「異世界転生/転移」が追加されるのです!
しかも、なろう公式の発表によると、ランキングの扱いも変わるようで…。
「異世界転生/転移」のキーワードが含まれる作品は各ジャンルごとのランキングにて集計対象外となります。
別途新設となります「異世界転生/転移」のキーワードが含まれる作品のみを対象としたランキングにて取り扱う形となりますので、ご注意ください。
なお、総合ランキングにつきましては設定キーワードに関わらず集計が行なわれるものとなります。
なろうの総合ランキングは現在、いわゆる「異世界転生/転移」ものが上位を独占している状態です。このままでは他のジャンルの小説を書きたいユーザーが離れていってしまうため、このような措置を取ったのだろうと思われます。特にファンタジーを書くユーザーにはありがたいのではないでしょうか。
一方で「異世界転生/転移」ものを書いている人たちからの反発が少なからずありそうですが、住み分けができて良いのではないかなと個人的には思います。
しかし、この各ジャンルのランキング集計の対象にしないというの、かなり思い切った措置ですよね…。
まとめ
以上、小説家になろうのジャンル再編成で注目すべき点についてまとめてみました。とりあえず、恋愛とファンタジーを推し、異世界転生モノの影響を薄める意図が大きいのではないかなと思われます。
なろうもいいけれど、皆さんtaskeyもぜひ使ってみてくださいね!
僕は小説関連のメディアtaskey Uの編集長をしておりますので、よろしければこちらも見に来てください!