あとーすログ

文芸、演劇、カメラ、インターネットが好きです。

セリフ覚えが死ぬほど悪い人のためのセリフの覚え方

熊本で演劇をやっている。昔から死ぬほどセリフを覚えるのが苦手だ。大体、本番直前につらい思いをすることになる。

そして、本番前のつらい時期になると、覚えないと死が待っているのでめちゃくちゃ集中してセリフを覚える。というか、集中的にセリフを覚える方法を編み出し始める。

ただ、その多くを忘れてしまうので、また次の台本を渡された時にはセリフを覚えるのが死ぬほど下手くそになり、本番前にセリフを覚える方法を再発明することになる。

そして今回も見事にセリフで死んでしまったので、未来の自分のためにセリフの覚え方を書き記しておく。

 

場面を分ける

本番が近づいてくると大体やるのに、いつも忘れてしまうのがこれ。まず台本を覚えやすいサイズに分割する。

分割の仕方はなんでもいい。数回読んで、意味のまとまりで区切ったり、ト書きの位置で区切ったりする。自分の中で明確にシーンをわけることができればなんでもいい。

そして、区切る時にはシーン毎に番号をつける。こうすることで、覚える時に覚えているしーんと覚えていないシーンを簡単に峻別することができる。「◯番は同じような意味のセリフが続くから、覚えにくいんだよなー」みたいな認識を作り出すことができる。

また、番号を教えつけることで、いくつのシーンを覚えればゴールとなるのかがわかりやすくなる。「台本を全部覚える!」だとモチベーションを維持しにくいが、「◯番と◯番は完璧だ!」みたいな管理の仕方をすると、セリフ覚えの進捗を数値化して把握することができる。

ということに、今回も早く気づけばよかったのだ(中途半端に番号の振られた台本を見ながら)。

 

イメージとして焼き付ける。

セリフというのは物語上の必然として発生するので、ちゃんと読んで理解すればおのずとセリフが頭の中に浸透するのだろうけど、これではとても時間がかかってしまう。また、単純明快で直線的な話だったらいいのだけど、少しでも込み入った話になると、演じている側は何が何だか分からなくなることも多い。というか、稽古をしてシーンを当たっているうちにわかるようになってくることがほとんどだ。

だから、まずは話の流れなど無視してセリフを覚える。そのうち、「このセリフってこういうことなのかー」と実感できる瞬間がくるから大丈夫。

番号がふってあるなら、それに沿って覚える。まず、自分の台詞にマーカーを引く。そして、番号の中に自分のセリフが何個あるのかと、その位置を確認する。

そうして、まずはその番号の中で、自分のセリフがどのような順番で出てくるのかを完璧に覚える。これで大丈夫。

 

きっかけを覚える

 次にやるのは、きっかけを覚えること。

自分がどんなセリフを言えるのかどうかを覚えたところで、適切な場面で言うことができれば意味がない。

これは、できれば稽古の中で覚える方がいいと僕は思っている。というか、そっちの方が効率的に身につく。相手役の声と動きとセットで、自分がセリフを言うタイミングを掴むことができるからだ。ただ、そんなことを言っていると演出家を困らせてしまうし、セリフ入れが本番ギリギリになってしまう。

ということで、自分でセリフ入れをする段階では、自分のセリフの直前のセリフまで覚えるようにすると良い。あとは、そのセットがどのような順番で出てくるかを覚えるだけだ。

この覚え方は全く本質的ではないのだけれど、ひとまず覚えるのには役に立つ。あとは、稽古をする中でセリフを自分のものにすれば良い。

長セリフを覚える

ここまで書いてきて気づいたんだけど、どうも「セリフを覚える」というのには、

①セリフのきっかけを覚える

②セリフの内容を覚える

の2種類があることに気づいた。

そして、僕は基本的に①が苦手だ。短いセリフがたくさんあると、どこで何を言えばいいのか全然わからなくなる。ただ、きっかけさえ掴めれば案外すらすらと言えるものである。

ただ、ある程度の長セリフになると、やはりそれを覚えるのに苦労する。ただし、これも短いセリフを覚えるのとさして変わらないようにすることはできる。

まず、長いセリフをいくつかのブロックにわける。これは、大抵は句点(。)の位置で区切られる。そしてその区切りがいくつあるのかを把握する。番号を振ってもいいだろう。一つのブロックのセリフは短いので難なく覚えることができる。あとは、この順番を覚えるだけだ。

長いセリフは、次のブロックに進むためのきっかけが自分の中にあるので、むしろ短いセリフがたくさんある部分よりも覚えやすいと言えるかもしれない。少なくとも、自分一人でセリフを入れなければならないときは。

 

口に出して読む

色々とテクニックめいたことを挙げてきたけれど、最終的には口に出して読むというのが最強の方法なのかもしれない。特に、集中して覚えるほどでもない隙間時間などに、自分のセリフをぶつぶつと口に出して見るのは非常に効果がある。

というか、本番ではいちいち自分のセリフを頭で思い出していては間に合わない場合が多い。自然に口をついて出てくる必要がある。そのためには、やはり常日ごろから口に出してセリフを覚えておくことが重要だ。

 

まとめ

多くの人にとっては当たり前かもしれないけれど、セリフ覚えが悪い僕が本番直前に何度も再発明したセリフ入れの方法をまとめた。

他にも、良いセリフ入れの方法があったらぜひとも教えてほしい。