あとーすログ

文芸、演劇、カメラ、インターネットが好きです。

これからの文芸の話をしよう 「場」としてのネットの可能性について

f:id:ATOHS:20150927130541p:plain

 

文芸とは何か。その言葉の指し示す範囲は広いし、まあ説明はWikipediaに譲るとして、ここでは「小説」を中心とし文芸の話をしたいといます。詩とか評論とかも、まあ広義には含む感じで。

文芸 - Wikipedia

Wikipediaの「文芸」のページが全然詳しくなくて、困惑しているところです。)

 

さて、近代以降(あるいはもっと前から)、文芸は紙と共に発展してきました。商業誌でも同人誌でも、発表する媒体は「紙」だったわけです。あるいは「印刷物」であったと言い換えても良いでしょう。

印刷技術は文芸作品の複製を容易にし、多くの人に作品を読んでもらえるようになりました。話がかなり過去に飛びますが、平安時代に『源氏物語』が手書きで複製されていた頃には考えられなかったことです。

ところが、印刷よりももっと迅速に全国・全世界に情報を届けられる仕組みが出来ました。それがインターネットです。書籍や文芸誌は売上不振にあえいでいるようですが、その原因は主に2つあると思っています。

1つは、電子書籍の登場です。実際に書店に行かなくても数秒で作品をダウンロードできるし、出版のハードルが低いので、たくさんのコテンツが流通し、読者ばらけてしまう。

もう1つは、そもそもインターネット上に他のコンテンツ(SNSなども含め)がありすぎて、書籍や文芸誌電子書籍も含め)を購入する必要がなくなってきたことにあります。無料で楽しめるものもたくさんあるので、コンテンツにお金を払うという意識も希薄になってきているんじゃないかなと思っています。

 

文芸の「場」としてのインターネット

しかし、文芸が衰えているわけではないと思います。むしろインターネットが普及したおかげで、たくさんの人が文芸に挑戦し、多種多様な作品が発表されています。

ブログやホームページに作品を発表している方もたくさんいると思いますが、いわゆる「小説投稿サイト」に作品を投稿している方も多いことでしょう。

小説投稿サイトといえば、まず思い浮かぶのが「小説家になろう」です。2004年から運営を行っている最古参であり、最大の小説投稿サイトということができるでしょう。

他にも、モバゲーからの流入でユーザーを獲得したE★エブリスタ、イラスト投稿サービスとして抜群の知名度を誇るPixivなども、小説投稿サイトとしては多くのユーザーを抱えている印象です。

他にも小説投稿サイトは挙げればキリがなく、それぞれが独自のサービスを展開しています。気になる方は、こちらのまとめを見てみると良いかなと思います。

matome.naver.jp

 

ところが、インターネット小説にはいくつかの問題があると考えています。

例えば、「小説家になろう」に掲載されている異世界転生ものの作品が「なろう系」と呼ばれたり、Pixivには二次創作が多いなど、「場」ごとの特性が強く出ている場合があります。

また、ネット小説にはある種の閉塞感が漂っていると感じています。ネット小説はいわゆる「ケータイ小説」の流れもくんでいると思うのですが、なんというか「ネット小説っぽい」作品ばかりが投稿されている気がするのです。

それは例えば、「ラノベっぽい」とか「ファンタジーが多い」とかが相まって「ネット小説っぽい」という評価になっているのですが、この「ネット小説っぽい」作品ばかりが集まっている現状はどこの投稿サイトにもあると感じています。

もちろん「ネット小説」っぽいネット小説には面白いものがたくさんあるし、実際にそれが出版されたりもしている。けれど、ネット小説が大好きな人だけがインターネットを使用しているというのは、なんだか勿体ない気がします。

 

CRUNCHMAGAZINEと破滅派

そんな流れの中で、個人的に注目しているのがCRUNCHMAGAZINE破滅派です。この二つの投稿サイト(あるいは「コミュニティ」)は、「ネット小説っぽい」もの以外のネット小説を集めることに成功しているように思います。それは、ある程度意識的にそうしているのだと思います。

CRUNCHMAGAZINEは、基本的には他の小説投稿サービスと変わった機能はありません。しかし、従来のネット小説では発見することが難しかった純文学的な作品や中間小説的な作品などをよく見かけます。

また、破滅派はWordPressを利用したオンライン文芸誌システムなのですが、ここもいわゆる「ネット小説っぽい」小説以外のものがたくさん集まっているように感じます。

しかし、これはこれで問題があって。CRUNCHMAGAZINEや破滅派に投稿するハードルはかなり高いのではないかと考えています。また、いわゆる「ネット小説っぽい」ものはネット上に多数存在しているのに、そこを「排除」(あえてこの言葉を使います)しているので、ユーザー数が伸びず、大きな文芸の場として機能していない感じがするのです。

 

統合的な文芸の場を目指して

そんなこんなで、「新しい文芸の場を作ることができないかなあ」と考えていたときに出会ったのが、僕が現在インターンをさせてもらっているtaskeyです。

文芸だけではなく、イラストや写真投稿サービスも展開しているのですが、僕はどちらかというとやっぱり「文芸」に興味があります。

そこで、taskeyの存在を皆さんに知ってもらうべく、taskey Uというメディアで文芸活動に役立つ知識などを発信しているわけです。

僕はtaskeyの本サービス開発には全くタッチしておらず、故に経営陣や開発チームと思惑が違うのではないかとも感じているのですが、僕は「ネット小説っぽい」ものもそれ以外のものも混在している統合的な文芸の場を目指したいと考えています。

翻訳機能とか、多彩な編集機能とか、機能的にも面白いものがたくさんあるのですが、taskey Uでの情報発信を通して、様々な層の人にtaskeyを利用していただけると嬉しいなと考えているところです。

僕は現在、大学で文学を学んでいて、その対象の多くは「純文学」だったりするのですが、中学生の頃からネット小説は大好きだったし、児童文学やSF、ファンタジーなどが文学史にどういった影響を与えたかということも知っているつもりです。

僕は新しい文芸の場を作りたいのです。いずれ紙からネットへと文芸の主戦場が変わるときがきっと来ると思っています。taskeyが統合的な文芸の場になってくれれば嬉しいなと心から思っています。

まとめ

思ったことをつらつらと書いていたらまとまりがなくなってしまったのですが、とりあえずこの辺でまとめておこうと思います。

個人的には、文芸誌に出して落選した小説をtaskeyとかの投稿サイトに投稿するのは非常に面白い使い方だと思うのですが、いかがでしょうか。

とりあえず、taskey Uでもっと面白いことができるように、たくさんの人と会ってたくさん勉強したいと思います! 以上、宣伝でした!!!!(宣伝ですみません…)

taskey.me

taskeyu.me