あとーすログ

文芸、演劇、カメラ、インターネットが好きです。

僕がこれまでの人生で、3回読んだ本を6冊紹介します

人生で2回読んだ本は数あれど、3回読んだ本となると少ないもんだなあ、とこの前電車に乗りながらぼんやり考えていました。

好きな作品でも、長いと気軽には読み返せないし、それほど好きな作品じゃなくても、軽めの本だったら何となく読み始めてしまう。

そんなわけなので、3回読んだからその本が大好きとも限らないのですが、このくくり方はちょっと面白いなあと思ったので紹介させていただきますね!

 

森絵都『カラフル』

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。

(あらすじより引用)

中学生のとき、本好きの友人に勧められて一回目を読みました。その後、機会がある毎に読んでます。

僕が本格的に読書をするきっかけになった小説でもあり、そのあと馬鹿みたいに森絵都さんの作品ばかり読んでいたのを思い出しますね。

僕はこの小説で、善悪とは何かということについて、非常に刺激を受けたように思います。

この小説には「悪いことをしている人間」というのがたくさん登場するのですが、その悪いことには色々と理由があるし、そもそも悪いと思っていない場合だってある。

その人間のすれ違いが面白いというか、僕も生きる上で、気を付けなければならないなと思いました。

ストーリーの構成面で言えば、やはり「衝撃のラスト!」みたいな感じになるんじゃないかと思います。まあ、読んでみてください。

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

 

 

 

綿矢りさ『インストール』

 学校生活&受験勉強からドロップアウトすることを決めた高校生、朝子。ゴミ捨て場で出会った小学生、かずよしに誘われておんぼろコンピューターでボロもうけを企てるが!?押入れの秘密のコンピューター部屋から覗いた大人の世界を通して、二人の成長を描く第三八回文藝賞受賞作。書き下ろし短篇を併録。

(あらすじより引用)

 この本も馬鹿みたいに読みました。綿矢りさのデビュー作。読んだのは、確か高校生の頃だったでしょうか。

僕も当時から小説を書いていて、ああこの人には絶対に叶わないなあと思いました。

そして先日また読み返したのですが、それでもなお絶対に叶わないと思っています。

綿矢りさの作品はこれ以外にもたくさん読んでいて、例えば「かわいそうだね?」とかも好きなのですが、『かわいそうだね?』は完成されすぎている感じがするんですね。比喩とかその他の表現とか、本当に完璧。

そういうのを読んでから『インストール』を読むと、とても粗粗しいなあと感じて、でもその粗粗しさがまた違った意味で完璧なんですよね。「完璧」っていうのは、文庫版の解説で高橋源一郎氏も言っていることですが。

僕の好きな一節があるので、引用しておきます。

媚びの武器としての不器用は軽い笑いを誘う可愛いものだけれど、本当の不器用は、愛嬌がなく、みじめに泥臭くて、見ている方の人間をぎゅっと真面目にさせるから。

(『インストール』より引用)

 この他にも、『インストール』では、僕が普段からもやもやしているような事象に対して、言葉で以てはっきりとした輪郭を持たせてくれるのです。そういうところが好きです。

インストール (河出文庫)

インストール (河出文庫)

 

 

 

綿矢りさ蹴りたい背中

高校に入ったばかりの蜷川とハツはクラスの余り者同士。やがてハツは、あるアイドルに夢中の蜷川の存在が気になってゆく…いびつな友情? それとも臆病な恋!? 不器用さゆえに孤独な二人の関係を描く、待望の文藝賞受賞第一作。第130回芥川賞受賞。

(あらすじより引用)

 言わずと知れた、最年少芥川賞受賞作品。綿矢作品2連続ですみません。でも、この時期の綿矢作品が大好きだったんですよね。もちろん、今でも好きです。

恋と呼べるか微妙な関係を描いた作品ってたくさんあると思うんですけど、そういう作品に僕が初めて触れたのがこの作品だったから、僕の中で大きな存在になっているのかもしれません。

あと、初めて読んだ芥川賞作品ってことも大きいかもです。芥川賞って、こんな感じで良いんだ、僕でも読めるじゃん、みたいに安心しました。

ちなみに、同時に芥川賞を受賞した『蛇にピアス』はちょっと苦手です(でも、2回読みました)。

蹴りたい背中 (河出文庫)

蹴りたい背中 (河出文庫)

 

 

太宰治人間失格

無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の長編小説。初出は「展望」[1948(昭和23)年]。自分の幸福の観念と世の中のそれが、まるでくい違っているような不安に悩む大庭葉蔵の半生を自意識過剰に描いた、太宰文学随一の傑作。臼井吉見が言うように、太宰文学の「最高のかたち」の「遺書」であるとともに、日本近代文学を代表する作品。

 『インストール』『蹴りたい背中』と来て『人間失格』って、何か僕の性格とか大体分かりそうな気がしてちょっと恥ずかしいですね…。

僕は卒論で太宰を扱おうと思ってるんですけど、やはりこの作品が一番思い入れがありますね。

短編で良いなら「葉桜と魔笛」は何十回と呼んでいるんですが、そこそこボリュームのある作品はこれしか3回以上読んでないなあ、と。

太宰の文学は暗いと言われることが多くて、まあ実際『人間失格』も暗いとは思うんですけど、その暗さの中でキラキラと光る人間臭さが最高に良いんですよね。

ちなみに僕は、葉蔵が酒を飲まないと約束したのに、飲んじゃったという場面が一番好きです。まあ、全部好きなんですけどね。

 

人間失格

人間失格

 

 

 

J・K・ローリングハリー・ポッターと賢者の石

ハリー・ポッターは孤児。意地悪な従兄にいじめられながら11歳の誕生日を迎えようとしたとき、ホグワーツ魔法学校からの入学許可証が届き、自分が魔法使いだと知る。キングズ・クロス駅、9と3/4番線から紅色の汽車に乗り、ハリーは未知の世界へ。親友のロン、ハーマイオニーに助けられ、ハリーの両親を殺した邪悪な魔法使いヴォルデモートとの運命の対決までの、息を飲む展開。9歳から108歳までのファンタジー。

(あらすじより引用)

 『ハリー・ポッター』シリーズは結構好きで、全巻通して読みました。映画はアズカバンくらいでやめちゃったなあ。

全巻読みましたが、3回以上読んだのは賢者の石だけ。というか、賢者の石だけ5回くらい読んだ覚えがあります。他のは、多くて2回。最後の方は、1回しか読んでません。

ハリー・ポッターシリーズは、個人的には賢者の石が最も良い作品じゃないかなあと思っています。他のも面白いですけどね。純粋に魔法の世界にわくわくできるというか。

とか書いていたら、なんだか無性に全巻読破したくなってきました。でも、全部集めたら、たぶん太宰全集くらいの厚さがありますよね…。

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

 

 

江國香織『すみれの花の砂糖づけ』

〈すみれの花の砂糖づけをたべると/私はたちまち少女にもどる/だれのものでもなかったあたし〉。恋人と心のまま体を重ねもするし結婚をしているしどこへでも旅することができる。大人の自由、大人のよろこび。だけど少女のころ、一人決然と向きあった、ままならなさ、かなしみは、変わらず健在ではないか! ――言葉によって勇ましく軽やかな、著者の初の詩集。単行本版に12編を増補。

(あらすじより引用)

 江國香織は好きでも嫌いでもなくて、でも、女性作家にハマった時期にはいくつかの小説を読みました。小説の中では、『落下した夕方』を二度読みました。あれはとても良かったので、今度三度目を読むかもしれません。

さて、この『すみれの花の砂糖づけ』は詩集です。僕はめったに詩集を読まなくて、他には高村光太郎詩集をぱらぱらとめくったくらいです。

僕は無間書房という文芸同人に所属しているんですけど、そこで140字小説というものを書いているんですね。その勉強のためにと、『すみれの花の砂糖づけ』を買ったと記憶しています。

最初は正直「うーん」と思って読んでいたんですが、二度目ですっかりはまってしまって、ついつい三度目を読んでしまいました。

気軽に読める、というのも三回読んだ理由の一つですね。詩集って、なんであんなに余白が多いんだろう…。あれも楽しめということなのかな…。

すみれの花の砂糖づけ (新潮文庫)

すみれの花の砂糖づけ (新潮文庫)

 

 

 

まとめ

以上、僕が人生で三度以上読んだ本を紹介しました。

ハリー・ポッターは気合を入れないと再読しなさそうですけど、他のやつはまた読むことになるんだろうなあ…、と思います。

どれもおすすめできる本なので、是非読んでみてくださいね!

 

 

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