情報でもなく、物語でもない 大森靖子+最果タヒ『かけがえのないマグマ』
大森靖子の自伝的小説が最果タヒによって書かれるって、この世で一番エモい小説が出来上がるに決まってるんですよ。僕もそのうち買おうかなあと思っていたのですが、ローチケでサイン本が手に入ると聞いて、即購入。ポンタカードに入会してしまいました。ローソンなんて滅多に行かないのに。
19:00~21:00に再配達していた本が18:40くらいに届いて、郵便局の人が「ちょっと早くてすみません」なんて言っていたけれど、心の中では「マジありがとう!」と叫んで、届いた瞬間に読み始めていました。
開くと、ピンク色の文字の羅列。彼女たちらしい。ピンク。大森靖子マジックミラーの歌詞に次のようなものがあります。
モテたいモテたい女子力ピンクと
ゆめゆめかわいいピンク色が
どうして一緒じゃないのよ あーあ
大森靖子『マジックミラー』
ゆめゆめ可愛いピンク色の文字。そこには、大森靖子の激動の人生が描かれています。正直、大森靖子を知らない人は、この小説を読んでもあまり面白くないのではないかなと思う。もちろん、小6の時に強姦をされたとか、美大に馴染めず休学して音楽をやっていたとか、そういうアブノーマルな部分もあります。けれど、それは小説にしてしまうほどの虚構性とか特殊性を持っているわけではなくて、大森靖子その人が今ここで歌っている奇跡を再確認するために読むのだろうと思います。
僕だって、大森靖子という存在を知ってまだ1年くらい。そんなにわかファンの僕がこんなに打ちのめされるのだから、大森靖子がずっとずっと好きだというファンは、この本を読んで一体どういう気持ちになるのでしょう。
ところで、記事タイトルの「情報でもなく、物語でもない」というのは僕が考えた言葉ではなく、冒頭の文章からお借りしています。
この本は、大森靖子という人を、情報でも物語でもなく、生きている人として、そのまま伝えるためにあります。
『かけがえのないマグマ』
大森靖子は間違いなくこの瞬間も生きていて、そんな事実をTwitterを見ながら確認したりしています。終わり。