5軒の古本屋をはしごして27冊の本を買った話
実家に帰ってきています。僕は自分の車を持っていないので、実家でゴロゴロしていると大体「練習のために車に乗っとく?」という話になります。別に運転の練習をするのはいいのですが、実家の周りは特に何もなく……。
いつもは適当にぶらぶらと走って大型商業施設(ゆめタウン)に行って特に何も買わずに帰ってくるのですが、そんなのあまりに虚しすぎます。
どうしようかなあと考えていたところ、ふと「古本屋に行けばいいんじゃないか」という答えに行き着きました。
実家の近所に2軒の古本屋があって、昔からよく利用していました。そして、気分がいいときは2kmほど先にある古本屋まで自転車で行ったりもしていました。
しかし2km走っただけでは練習にならないので、そんなに遠くないところに古本屋がないかなあと探したところ、5kmほど離れたところに2軒の古本屋があることが判明しました。
というわけで今日は、まず5km離れたの古本屋2軒に行き、2km離れた古本屋に行き、さらに近所の古本や2軒に行きました。購入した本は全部で26作品27冊。
そのままにしておくと読まなくなりそうなので、買った理由とかを含めながら購入した本を書き記しておこうかなと思います。なお、著者五十音順で並べております。
いとうせいこう『想像ラジオ』
昔読んだ『ノーライフキング』がつまらなかったのを覚えているのですが、天才ビットくんに出ているいとうせいこう氏もバラエティ番組の知識人枠で出ているいとうせいこう氏も好きなので、今読んだら面白いのではないかと思い、購入しました。
川上未映子『先端で、さすわ さされるわ それええわ』
川上未映子『六つの星星』
川上未映子氏の小説は『ヘヴン』しか読んだことがないのですが、結構好みの作品だったので、今回は重点的に探していました。本当は小説をもっと買おうと思っていたのですが、全然見当たりませんでした。新刊で買えと言われているようです。
しかし、家に『すべて真夜中の恋人たち』と『乳と卵』があったような気がするので、まずはそれを読んでからまた探してみようかなと思っています。
僕が買ったのは徳間文庫版なのですが、色々な出版社から文庫が出ているみたいですね…?
SF御三家は、昔から星新一が好きで、筒井康隆も数作品ほど読んだことがあるのですが、小松左京は短編集の『物体O』しか読んだことがありませんでした。
この際だから何か長編を読みたいなと思い、映画化もされて有名な『日本沈没』を購入しました。
島本理生『ナラタージュ』
以前読んだ『シルエット』が可もなく不可もなくという感じだったのですが、基本的に若手~中堅くらいの女性作家が書く小説は好きなので、もう少し探ろうと思って購入。よく考えれば、野間新とったやつとか芥川賞候補になったやつを選んでおけば良かったのかも……。
新堂冬樹『あなたに逢えてよかった』
先輩が好きな作家なので、様子見のために一冊購入。どんな話を書く人なんだろう……。
高橋文樹『途中下車』
破滅派の高橋文樹さんの小説。もしかしたらあるかも? と探したら2冊もあったので、1冊購入しました。楽しみ。
中村文則『掏摸』
又吉大先生も読むという中村文則氏の作品を読んでみようと、僕も購入してみた次第です。本当は『教団X』を読みたいなあと思ったのですが、『掏摸』もよくタイトルを聞くので、ひとまずこちらを購入しました。
中学生の頃に友人が持っていて羨ましいなと思っていた本が200円で売っていたので、つい買ってしまいました……。
平野さんの本は一度読んでおかねばと思って早1年ほど経つので、目についたために購入。
深町秋生『果てしなき渇き』
映画の『渇き。』が結構面白かったので、購入。文庫で500ページあるので、息切れせずに読み切れるかがとても不安です。
マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』
これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: マイケルサンデル,鬼澤忍
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 204回
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大学1年生の頃に話題になっていた本がお求めやすい価格だったので、購入。今回買った中で、最も読まさなそうな本。
舞城王太郎『世界は密室でできている』
僕の中で舞城王太郎ブームが到来しておりまして、ひとまず見つけることのできた3冊を購入。確か家にもまだ数冊あったような気がするので、あわせて読まなければなりません。
一冊くらいはセカイ系を論じた本を読んでおきたいなと思っていて、amazonのほしいものリストにも入っていた本を見つけたので、とりあえず購入。
前田司郎『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』
かれこれ1年くらい前田司郎の『恋愛の解体と北区の滅亡』を探しています。絶版で新刊は買えないようなので、諦めてKindle版で読もうかと思っています。というのとは関係なく、『グレート生活アドベンチャー』もまあまあ面白かったので、2冊目にチャレンジです。
三浦しをん『船を編む』
個人的に「まだ読んでないのか!!!!」感が一番強い小説。どこの古本屋に行っても大量にあるくせに、まだまだお高いのはさすがだなと思いました。映画も見たい。
三崎亜紀『バスジャック』
三崎亜紀『失われた町』
『となり町戦争』しか読んだことがないのですが、熊大出身ということもあって2冊新たに購入してみました。
本谷有希子『ぬるい毒』
芥川賞ノミネート辺りから本谷有希子氏のことが気になり始め、これまでも数作読んでいるのですが、気付けば今回は4作品も買ってしまいました。
特に映画版がとても面白かった『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』に期待しております。
柚木麻子『伊藤くん A to E』
僕の苗字が伊藤だからなんとなく、という理由だけで買ったので、本当に読むかどうかちょっと心配です……。
与謝野晶子『みだれ髪』
一度は読んでおきたいなと思い、解説もついてて丁度よさそうだったので購入しました。移動中などに読みたいと思っています。
現場からは以上です。また感想など書きたいと思います。
JanetterからTweetDeckに移行して良かった4つのこと
PCでTwitterを閲覧・投稿するためのクライアントして「TweetDeck」を使い初めてからしばらく経ちました。それまでは長いこと「Janetter」を使っていたのですが、どうしてそれまでTweetDeckを使わなかったのかと思うほど、使いやすさに天と地ほどの差があります。
まだJanetterを使っていて、TweetDeckが気になっている方に向けて、TweetDeckの良いところを書き記しておこうと思います。
なお、JanetterもTweetDeckもアカウントを複数管理できるところが便利な点ですので、そういった方を対象として記事を書いております。
アカウントを追加できる
JanetterはTwitterの認証上限に引っかかり、ほとんどアカウントの新規登録をすることができません。ゆえに、新しいアカウントを管理しなければならなくなったとき、非常に困ってしまいます。
ところがTweetDeckはTwitterの公式クライアントなので、この先も新規アカウント登録ができなくなるということはないでしょう。
他の機能は未知数でしたが、僕はこの点だけでJanetterからTweetDeckに移行することを決めました。
通知を表示することができる
Janetterでもリプライは表示することができましたが、TweetDeckではカラムに通知を表示することができます。
これまではTwitterの公式を開いて通知を確認していたので、カラムで確認できるのは非常に便利です。リプライのカラムも別に作っていると表示が重複するという問題もありますが、あまり気になりません。
予約投稿ができる
予約投稿機能はめちゃくちゃ便利。アカウント1つしか持ってない人でも、予約投稿をするためだけに使う価値があるかもしれません。
ツイートを予約投稿するサービスとしてはBufferがありますが、リンクが短縮URLに変換されてしまうので、あまり見た目がよくないんですよね。
しかし、TweetDeckを使えば、リンクも変換されることなくツイートすることができます。しかも、複数のアカウントの予約投稿ができる点もかなり便利。
日時設定の使いづらさに多少難がありますが、Bufferを開いて投稿するのも相当面倒だったので我慢……。
まとめてRTができる
1つの投稿をまとめてRTすることができます。関連するアカウントを複数管理しており、それぞれの情報を相互にRTする場合などに便利な機能です。
RTも予約できる機能がつくとさらに便利なのですが、まとめてRTだけでも便利なので、とりあえずこちらも我慢……。
まとめ
今回はJanetterでできないことを中心にまとめたので、JanetterもTweetDeckも使ったこともない方には魅力があまり伝わらなかったかもしれません。
しかし、複数アカウントを管理するならば間違いなくTweetDeckがおすすめです。
それから、「検索」をカラムとして残しておけるので、エゴサがはかどります。エゴサにも通知が設定できるので、自分に関連するツイートをすぐにふぁぼるという気持ち悪い行動を日夜しております。
まだ使ったことがないという方は、ぜひ試してみてください。
新しいサイトを立ち上げて1週間経ちました。継続するために気をつけていることとか。
こちらのブログは1週間ぶりの更新になりますね。
今月1日の記事にも書いたのですが、2月末でtaskey Uの編集長を退任し、新たに「蓼食う本の虫」というサイトを作りました。
3月1日の午前0時に合わせて5記事を公開した、その後は1日に1~2記事を更新し続けています。おかげで、サイト開設1週間ながら、平均すると1日1000PV以上を獲得することができています。出来立てのサイトにしては、まずまずなのではないかと思っております。
ひとまずはこのままのペースを維持して、3月は月間3万PVを目指したいなというところです。
ところで、僕は過去2年くらいのうちにサイトを3つほど作っては全て短期間で潰してきました。今回もその二の舞になりそうで怖いのですが、僕もそれほど馬鹿ではないので、過去にサイトを潰した経験から「蓼食う本の虫」運営で気をつけていることをいくつか書こうと思います。
集中する
これまでのサイトは、taskey Uの業務の並行しながらだったので、うまく続かなかった面があったのではないかと考えております。
そのため、今回は1年間続けてきたtaskey U編集部から離れ、記事執筆のリソースを自分のサイトにしっかり割くことができるようにしました。
やっぱり、あっちもこっちも頑張ろうというのは無理なようです。
ただ、4月から就職する予定なので、それからちゃんと運営できるかどうかがやや不安ではありますが……。
少人数で始める
これまでのサイトは、何人かの協力者を募って運営していました。しかし、人が多すぎると他の人に頼ってしまいがちで、意思の疎通もうまくいきません。そんなこんなで、記事が更新できずにいつのまにかサイトが消滅……という流れが僕の中で定番になってしまっていました。
そこで今回は、ミニマムに編集部2人で始めました。それに、記事の8割くらいは僕が執筆しています。メンバーが少ないと、記事を更新できないのを他人のせいにできないので、危機感を持って運営することができます。
ただ、サイトを大きくするにあたって寄稿してくれる方や編集を手伝っていただける方はいた方が良いので、原稿料などを含め、どういう仕組みを作っていこうかなあと思案しているところです。
事前に準備をする
これまでは思いつきサイトを立ち上げることも多かったのですが、今回はサイト開設の1ヶ月くらい前から準備を始め、コツコツと準備をしてきました。
そのおかげで、今のところ記事を毎日更新することができています。
ここからが勝負
本当はもっとちゃんと書こうと思ったのですが、「事前に準備する」の辺りで当たり前すぎて書くことがなくなってしまったので、ここでやめておきます。
事前に準備をしているおかげで記事のストックはまだあるのですが、1日に1本公開していると、当たり前のことですがストックがどんどん減っていきます。1日に1記事ずつ書ければ良いのですが、なかなかそういうわけにもいかず、消耗を感じながらサイトを運営しております。
とにかく、この1ヶ月はしっかりと毎日更新と3万PVを達成したいなと考えているところです。
また、寄稿者の方も地味に募集しております。上にも書いたように原稿料をお支払いすることができないのですが、寄稿者のお知らせや広告などを掲載することは可能です。ひとまずは少人数で回していきたいので大々的には募集しませんが、興味のある方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。
将来的には原稿料をお支払いできるようになりたいなあと思っているのですが、今のところはまだ遊びの段階を脱していないので、早く次のステージに行きたいです。
それでは皆さま、蓼食う本の虫をどうぞよろしくお願いいたします!
2月に読んだ12冊の本
2016年は100冊読むぞーと意気込んでおりまして、2月は12冊の本を読みました。1月は7冊でしたので、少し増えました。
このブログで感想を書いたものもありますが、改めて振り返りたいと思います。
吉田修一『東京湾景』
吉田修一作品はこれで3作目。芥川賞受賞作の『パークライフ』と映画化された『横道世之介』がとても面白く、この本も面白いのではないかと思って読んでみたのですが、それほど好みではないなあという感じ。
吉田修一はエンタメと純文学のクロスオーバーを得意としていると言われていて、それって中間小説と何が違うのと思わなくもないのですが、この作品に関してはエンタメ色が強いような。登場人物が変なやつなのか普通のやつなのか分からない感じが、何だか気持ち悪かったです。
仲間由紀恵主演でドラマ化もされているようですが、Wikipediaを見る限りでは内容が全然違うみたいですね。
吉田修一は『悪人』も買ってそのまま放置しているので、そのうち読みたいなと思います。
本谷有希子『グ、ア、ム』
こちらに感想を書きました。
姉妹の衝突が学歴至上主義崩壊の縮図 本谷有希子『グ、ア、ム』 - 蓼食う本の虫
本谷作品はこれで2作目だったのですが、正直なところ1作目に読んだ『生きてるだけで、愛』ほどの衝撃はありませんんでした。でも、面白い人称の使い方をしているなと思いました。あと、名前が明示されないのも面白い。(面白い以上のものがあるかと聞かれると、僕は発見できていませんが)
綿矢りさ『憤死』
年内に綿矢りさの著作を全部読みたいなと思い、とりあえず未読の『憤死』を読みました。
綿矢りさといえば恋愛を主題とした小説が多いような気がするのですが、『憤死』は短編集ということで、恋愛を避けたのかなという風に思いました。なんというか、綿矢りさっぽくないなあというのが個人的な印象。特に僕のように『インストール』や『蹴りたい背中』などの初期作品が好きな人は、違和感があるかもしれません。
ただ、表題作の『憤死』は結構面白いです。というか、綿矢先生は女性を書いた方が絶対にいい小説になるのではないかと個人的には思います。でも、文庫版『インストール』に収録されてる短編は、主人公が男子大学生なのにめっちゃ面白いんですよね……。
王城舞太郎『ビッチマグネット』
こちらに感想を書きました。
過去記事の書き出しが「これは良かった。」なのですが、いや本当にこれは良かった。舞城王太郎は意味不明な物語を紡ぎ出す作家だという印象が僕の中にはあったので、それを払拭することができたのは大変良かったなと思います。あと、表紙がめっちゃ良くないですか?
大森靖子+最果タヒ『かけがえのないマグマ』
こちらに感想を書きました。
これを読んで「明日から頑張ろう!」と思いました。いや、マジで。でもこれは、大森靖子の曲が好きな人じゃないとそう思わないんだろうなと思います。ていうか、好きな作品を作る人の人生って、やっぱり気になるし、それに勇気もらったりするんですね。すげえ!
本谷有希子『ぜつぼう』
こちらに記事を書きました。
本谷有希子『ぜつぼう』 他人の絶望には気づけない - 蓼食う本の虫
『グ、ア、厶』に比べるとこちらの方が僕は好みで、本谷有希子は男性一人称小説もうまいなあと思いました。
これを10年も前に書いて、今も小説を書き続けてやっと芥川賞を受賞かと思うと、凄いよなあと思いました。というか、僕が中学生の頃にはこの小説がこの世に存在していたということが凄い。綿矢りさとかと同時に知りたかったです。
絲山秋子『ばかもの』
文芸誌の表紙で名前をよく見る、という理由で絲山秋子に初挑戦。好き嫌いでいうと、それほど好きではない感じ。昔、田辺聖子の『ジョゼと虎と魚たち』を読んだときのことを思い出していました。主人公は男だし、あんまり関係ないんですけどね。
本谷有希子『自分を好きになる方法』
こちらに感想を書きました。
今月だけで3冊も本谷作品を読んでいることになります。恥ずかしながら、少し前まで『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』を書いた人だという認識しかなかったのに、これほどハマるとは予想外でした。
ちなみに、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』は映画版を何度か見ているのですが、小説は読んだことがないので今度買いたいなと思っています。
『自分を好きになる方法』は、主人公は女性ですが、何だか自分の人生を見ているようで恐ろしいなと感じました。共感したからというのとはちょっと違っていて……。なんというか、1人の女性の人生をギュッとするのは恐ろしい試みだなと思います。
舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』
こちらで感想を書きました。
舞城王太郎作品はこれで3作目なのですが、僕の中で順位をつけるならば、『ビッチマグネット』→『好き好き大好き超愛してる。』『みんな元気。』ですね。タイトルに句点をつけている小説を見ると「モーニング娘。かよ!」ってつっこみたくなりませんか? 僕だけですか?
補助線的に挿入されてる短編の題材で長編が書けるよなあと思っていました。ていうか、長編で読みたいです。
せきしろ×又吉直樹『カキフライがないなら来なかった』
『火花』が結構良かったので、又吉直樹の他の著作を読んできたいなと思って読みました。自由律俳句というものが、伝統的にどんなものであるのかというのをあまり知らないのですが、この本に関しては面白く読むことができました。途中で写真や散文を掲載しているのが良かったのかもしれませんね。
電車やバスに乗るときに詩集を持っていくことがあるのですが、近代の人が書いた詩集を持っていくと、なんだか言っていることが難しくて断念してしまうことがあるんですよね。でも、この本ならば意味が分からないということもないでしょうし、おすすめです。
森絵都『この女』
個別に感想をブログで書こうかというくらいに良かったのですが、どこから書けば良いのかわからなくて結局書きませんでした。
僕は森絵都の児童文学が大好きで、こうして一般の文芸作品も読むのですが、正直なところこれまで読んだ一般文芸の長編はパッとしないものが多かったんですよね。でも、『この女』はまず形式が面白いし、内容としても満足できるものだったように思います。ところで、森絵都先生は作中で文学を取り上げることが多いような。今回はプロレタリア文学を取り上げていませいたが、以前読んだ短編では、何か古典作品を取り上げていました。和歌集だったように思います。卒論を代筆する話だったと思うのですが、詳しいタイトルが出てきません……。
中村航『絶対、さいきょうの恋のうた』
めちゃくちゃ甘い恋愛小説を期待していたのですが、そうでも無くて拍子抜けしてしまいました。エンタメとしても、純文学としても、中間小説としても中途半端な感じがしてしまって、どこに向かいたいのかが最後までよく分からない小説でした。
でも、先輩の家で鍋をするシーンはなんだか単純に羨ましいなと思いました。僕も、先輩の家でよく鍋食べたりしてたなあ。
まとめ
以上、僕が2月に読んだ12冊の本を紹介いたしました。
ほとんど内容の説明をしていない本もありますが、許してください。
3月も、たくさん本を読みたいと思います!
taskey U編集長を退任いたしました
このブログを読んでいる方のどれほどが、僕のこの報告に興味を持ってくれるのだろうかと心配なのですが、2016年2月いっぱいでtaskey株式会社の運営するメディアtaskey Uの編集長を退任いたしました。同時に、taskey U編集部も離れることになります。
去年の1月頃に何かメディアをやりたいな、できれば小説関連がいいな、と思っていたところでtaskeyを知り、とんとん拍子でインターンとしてtaskey Uで執筆・編集をさせていただくことになりました。
それから約1年と2ヶ月で100本弱の記事を書き、300本ほどの記事を送り出してきました。こうやって数字にしてみると、色々とやったなーと感慨深いものがあります。
退任の理由は大きく2つ。
1つ目は、別の企業から内定をいただいているので、4月から働き始める前までには区切りをつけておきたかったということ。
そしてもう1つは、自分で小説に関するメディアを作ってみたいなと思ったということです。
4月のギリギリまで編集長をやろうかなとも思ったのですが、就職する前に自分のメディアの素地を作っておきたいと思い、早めにtaskey U編集部を離れることになりました。
というわけで、宣伝になりますが「蓼食う本の虫」というWebメディアを作りました。編集部は今のところ2人しかいません。ぼちぼち頑張っていこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
特にtaskey Uでは書きにくかったネタである各小説投稿サイトの情報や考察記事を書いていきたいです。もちろん、これまでtaskey Uで培ってきた勘もフル動員させながら、小説を読む人にも書く人にも役に立つ情報を掲載していきます。
沼澤さんをはじめtaskeyの方々、編集部の方々、そしてアンバサダーの方々には大変お世話になりました。特に、新編集長の飯泉さんは素晴らしい記事を仕上げていただき、大変助かりました。また、アンバサダーの方々の記事なくしてはtaskey Uが成り立たなかったと思いますので、心より感謝しております。
taskey Uにはまたそのうち寄稿させていただければと思っておりますので、掲載された場合にはそちらもどうぞよろしくお願いいたします!
蓼食う本の虫にも遊びに来てくださいね!!
せきしろ×又吉直樹『カキフライが無いなら来なかった』を読んだ
たまに演劇の公演に役者として呼ばれることがあって、そんなときは、不定期に稽古場へ行くことになります。僕の自宅から稽古場までは歩いて約1時間。バスと電車はやや遠回りの道のりとなってしまい、来るのを待っている時間も考えると40分くらいかかります。自転車で行けよという話なのですが、あいにくどこに停めたのか全く覚えておらず、盗まれたのか撤去されたさえも分からない状況なのです。
時間もあまり変わらないし、バスと電車は340円かかってしまうので、普段は1時間かけて歩いていきます。でも、急いでいるときとか疲れていて歩きたくないときは、電車とバスを使って赴きます。そういうとき、40分の暇を潰すためにせきしろ×又吉直樹『カキフライが無いなら来なかった』を読んでいました。
というのも、又吉氏が以前どこかで、「長編はまとまった時間ができたときに読んで、電車では詩集や句集を読む」とどこかで聞いたことがあったからです。じゃあ、この本はまさに僕が稽古場まで行く間の暇つぶしに丁度いいのではないか、と。
この本を手にとったとき、僕はまずタイトルが面白いなと思いました。解説で金原瑞人氏は、江國香織氏の長編小説タイトルを「どれもがタイトルだけで一編の短編小説になっている」と評した上で、『カキフライが無いなら来なかった』のタイトルについて次のように評しています。
それにひきかえ『カキフライが来なかった』はどうだろう? 自由律俳句らしいタイトルだが、「俳句だぞ!」という意気込みもなければ、一編の短編小説にもなっていない。「カキフライが無いなら来なかった」というつぶやきかぼやきにしか読めない。少なくとも、江國香織に完結したタイトルではない。逆に、「あんた、完結させてよ」と読者に訴えているタイトルだ。
(『カキフライが無いなら来なかった』解説)
『カキフライが無いなら来なかった』はタイトルでもあり、又吉氏が作成した自由律俳句でもあります。つまり、『カキフライが無いなら来なかった』について「あんた、完結させてよ」と要請することは、この自由律俳句集に掲載されている全ての句にそれを要請しているということになるでしょう。
基本的に、僕はこの句集を「あるあるあるいは共感を求めるもの」として読みました。しかし、それにしてはあるあるの「解像度」が高すぎるように思います。
この「解像度」という概念は、敬愛するWeb漫画家かっぴさーんのブログ記事から拝借いたしました。
かっぴーさんによれば、マスは10人中10人に届かなければダメだけれど、Webでは100人中1人くらいに届けばよくて、自身のWeb漫画ではそれを実践されているとのことでした。
『カキフライが無いなら来なかった』は、短いことも理由の一つとしてあると思いますが、全然意味の分からないものがあります。その中で、めちゃくちゃ分かるやつもある。これは僕がうまく『カキフライが無いなら来なかった』にマッチングしていないのかもしれませんが、恐らく誰が読んでもその解像度の高さで戸惑うはずです。
でも、分かるやつはめちゃくちゃ分かって。たとえば、又吉氏の以下の句。
ごま油に賭けてみないか
(『カキフライが無いなら来なかった』)
「賭けてみないか」と呼びかけの形になっているので、もしかしたら複数人で鍋でもつついていて、「何か物足りないよね」という話になり、調味料を探し回った結果、ごま油しか無くて「ごま油に賭けてみないか」となったのではないかというストーリーを作ることも可能でしょう。
しかし、僕はこれに自分の生活を挿入します。僕はごま油が好きで、結構色んなものにごま油を入れます。ごま油を入れれば、だいたい何でもおいしくなるのです。話は一旦変わって、僕は最近カルボナーラを作るのにハマっています。コンソメと牛乳とチーズと卵黄でソースを作ります。しかし、いつも量を気にせずに作るので、たまに味が薄くなってしまうことがあります。そんな時に、僕はこう思ったのです。「ごま油に賭けてみないか?」
もちろん、この本を読む前の出来事ですから、一言一句違わずに「ごま油に賭けてみないか?」と思ったわけではありません。しかし、カルボナーラに対峙してキャップ付きの少しベタつく瓶を持ったあのときの僕の様子はまさに「ごま油に賭けてみないか?」とぴったり合うのです。
他にも面白い句はたくさんあり、「これってこういうことだよな~」なんて自分の生活に置き換えて共感するものも非常にたくさんありました。この句集は人を選ぶというか、共感できる人と共感できない人がいると思うのですが、一句も共感できないという人はいないでしょうし、共感できないならできないで、面白い面もあります。
また、二人による散文も秀逸。気張らない文体で掌編小説よりも短い散文ですので、バスや電車で読むのにもそれほど苦労しません。
というわけで、皆さまの通勤・通学のお供にぜひいかがでしょうか。
(ちなみに、僕は、以下の文庫版で読みました。追加分の自由律俳句も掲載されているようですし、何より電車やバスで読むのであれば、小さいでのこちらがおすすめです。)
舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』を読んだ
『みんな元気。』を読んだときに舞城王太郎無理だなーと思って、『ビッチマグネット』を読んだときにめちゃくちゃ面白いなと思って、今回『好き好き大好き超愛してる。』を読んで、まあやっぱり面白いのかなあと僕の中で舞城王太郎像がまた一歩固まった次第です。
表題作『好き好き大好き超愛してる。』は、連作短編と呼べなくもないかもしれない。単純に柿緒パートが長編の主題で、他のパートは補完的な役割を担っているように感じました。何を補完しているのかという具体的なところまではまだ考えが至っていないのですが、全編通して「死ぬこと」と「愛すること」に書かれているというような気はします。
『好き好き大好き超愛してる。』は、以下のような書き出しで始まる。
愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。そえrぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よし場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。
PlentyかGalileo GalileiかOverTheDogsかよ、そんなのが読みたいんじゃねえんだよ!と思っていたのですが、この冒頭部も書き方が非常にうまい。「祈りはそのまま、愛なのだ」とか陳腐な言葉が書かれているのですが、どうして祈りはそのまま愛なのかということも周到に書かれているし、作品を全部読み終わった後、確かに祈りはそのまま愛なのかなあと思ったりもするわけです。
さて、そんな本作は冒頭2ページの後、4つのパートで語られることになります。
まずは害虫ASMAに身体を侵食される女子大生を描いた「智依子」パート。身体の中に入り込んで身体を食う害虫ASMAという設定が強烈で、これだけで長編になるのではないかと思いました。
智依子の身体にはASMAの二大勢力がいて、その勢力同士が戦いあい、智依子の身体食いつぶしていく。全編読んだ後に、もしかすると智依子の身体は地球の比喩なのかもしれないと思いました。僕ら(ASMA)が争うことによって、地球(智依子)が滅んでしまう、みたいな。でも、舞城王太郎がそんな安易な比喩を持ち出すかなあという疑問はあります。
「佐々木妙子」パートは、夢と現実がどんどん曖昧になっていくのが面白い。夢は古今東西で物語のテーマとなっており、夢と現実が交わる話というのもまあたくさんあるわけですが、その中でもきっちり舞城ワールドを展開しているという印象を受けました。
「ニオモ」パートは、アダムとイブとか神との戦いとか、すげえ青年漫画のバトルものっぽいなと思いました。というか、『最終兵器彼女』を思い出しました。世界を滅ぼそうとする神との戦い、あるいはアダムとイブの恋愛(のような)関係を描くって、まんまセカイ系っぽいなと思います。
また「ろっ骨融合」というのが面白い言葉ですね。もちろんこれは、イブがアダムの肋骨から生まれたという話に由来するのでしょう。キリスト教的な見地からこの物語を読み解くと、また面白いのかもしれませんね。
さて、物語の本筋になる「柿緒」パートですが、基本的に「死ぬこと」と「愛すること」ばっかりです。途中で作家が「書く」ことについて色々と悩むシーンがあるのですが、そういうところがメタっぽいなあと思いました。まあ、読んでください。
同時に収録されていた「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」も面白かったのですが、読むのはどちらかといえばこちらの方が疲れてしまいました。ただ、こちらはもうメタ構造がバリバリすぎ。ミクロとマクロがつながっているということを、うまく表現しているように思います。まあ、こちらも読んでください。
舞城王太郎の作品は、平易な言葉で論理的なことを語ろうとし、結局は失敗してしまうところに面白さがあると僕は思っています。また他の作品も読んでみます。
(文庫版しか無かったので文庫版のamazonリンクを貼りますが、こちらには「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」は収録されていないようです。でも、解説がついてるからこちらを買うのもありかも!)