2月に読んだ12冊の本
2016年は100冊読むぞーと意気込んでおりまして、2月は12冊の本を読みました。1月は7冊でしたので、少し増えました。
このブログで感想を書いたものもありますが、改めて振り返りたいと思います。
吉田修一『東京湾景』
吉田修一作品はこれで3作目。芥川賞受賞作の『パークライフ』と映画化された『横道世之介』がとても面白く、この本も面白いのではないかと思って読んでみたのですが、それほど好みではないなあという感じ。
吉田修一はエンタメと純文学のクロスオーバーを得意としていると言われていて、それって中間小説と何が違うのと思わなくもないのですが、この作品に関してはエンタメ色が強いような。登場人物が変なやつなのか普通のやつなのか分からない感じが、何だか気持ち悪かったです。
仲間由紀恵主演でドラマ化もされているようですが、Wikipediaを見る限りでは内容が全然違うみたいですね。
吉田修一は『悪人』も買ってそのまま放置しているので、そのうち読みたいなと思います。
本谷有希子『グ、ア、ム』
こちらに感想を書きました。
姉妹の衝突が学歴至上主義崩壊の縮図 本谷有希子『グ、ア、ム』 - 蓼食う本の虫
本谷作品はこれで2作目だったのですが、正直なところ1作目に読んだ『生きてるだけで、愛』ほどの衝撃はありませんんでした。でも、面白い人称の使い方をしているなと思いました。あと、名前が明示されないのも面白い。(面白い以上のものがあるかと聞かれると、僕は発見できていませんが)
綿矢りさ『憤死』
年内に綿矢りさの著作を全部読みたいなと思い、とりあえず未読の『憤死』を読みました。
綿矢りさといえば恋愛を主題とした小説が多いような気がするのですが、『憤死』は短編集ということで、恋愛を避けたのかなという風に思いました。なんというか、綿矢りさっぽくないなあというのが個人的な印象。特に僕のように『インストール』や『蹴りたい背中』などの初期作品が好きな人は、違和感があるかもしれません。
ただ、表題作の『憤死』は結構面白いです。というか、綿矢先生は女性を書いた方が絶対にいい小説になるのではないかと個人的には思います。でも、文庫版『インストール』に収録されてる短編は、主人公が男子大学生なのにめっちゃ面白いんですよね……。
王城舞太郎『ビッチマグネット』
こちらに感想を書きました。
過去記事の書き出しが「これは良かった。」なのですが、いや本当にこれは良かった。舞城王太郎は意味不明な物語を紡ぎ出す作家だという印象が僕の中にはあったので、それを払拭することができたのは大変良かったなと思います。あと、表紙がめっちゃ良くないですか?
大森靖子+最果タヒ『かけがえのないマグマ』
こちらに感想を書きました。
これを読んで「明日から頑張ろう!」と思いました。いや、マジで。でもこれは、大森靖子の曲が好きな人じゃないとそう思わないんだろうなと思います。ていうか、好きな作品を作る人の人生って、やっぱり気になるし、それに勇気もらったりするんですね。すげえ!
本谷有希子『ぜつぼう』
こちらに記事を書きました。
本谷有希子『ぜつぼう』 他人の絶望には気づけない - 蓼食う本の虫
『グ、ア、厶』に比べるとこちらの方が僕は好みで、本谷有希子は男性一人称小説もうまいなあと思いました。
これを10年も前に書いて、今も小説を書き続けてやっと芥川賞を受賞かと思うと、凄いよなあと思いました。というか、僕が中学生の頃にはこの小説がこの世に存在していたということが凄い。綿矢りさとかと同時に知りたかったです。
絲山秋子『ばかもの』
文芸誌の表紙で名前をよく見る、という理由で絲山秋子に初挑戦。好き嫌いでいうと、それほど好きではない感じ。昔、田辺聖子の『ジョゼと虎と魚たち』を読んだときのことを思い出していました。主人公は男だし、あんまり関係ないんですけどね。
本谷有希子『自分を好きになる方法』
こちらに感想を書きました。
今月だけで3冊も本谷作品を読んでいることになります。恥ずかしながら、少し前まで『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』を書いた人だという認識しかなかったのに、これほどハマるとは予想外でした。
ちなみに、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』は映画版を何度か見ているのですが、小説は読んだことがないので今度買いたいなと思っています。
『自分を好きになる方法』は、主人公は女性ですが、何だか自分の人生を見ているようで恐ろしいなと感じました。共感したからというのとはちょっと違っていて……。なんというか、1人の女性の人生をギュッとするのは恐ろしい試みだなと思います。
舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』
こちらで感想を書きました。
舞城王太郎作品はこれで3作目なのですが、僕の中で順位をつけるならば、『ビッチマグネット』→『好き好き大好き超愛してる。』『みんな元気。』ですね。タイトルに句点をつけている小説を見ると「モーニング娘。かよ!」ってつっこみたくなりませんか? 僕だけですか?
補助線的に挿入されてる短編の題材で長編が書けるよなあと思っていました。ていうか、長編で読みたいです。
せきしろ×又吉直樹『カキフライがないなら来なかった』
『火花』が結構良かったので、又吉直樹の他の著作を読んできたいなと思って読みました。自由律俳句というものが、伝統的にどんなものであるのかというのをあまり知らないのですが、この本に関しては面白く読むことができました。途中で写真や散文を掲載しているのが良かったのかもしれませんね。
電車やバスに乗るときに詩集を持っていくことがあるのですが、近代の人が書いた詩集を持っていくと、なんだか言っていることが難しくて断念してしまうことがあるんですよね。でも、この本ならば意味が分からないということもないでしょうし、おすすめです。
森絵都『この女』
個別に感想をブログで書こうかというくらいに良かったのですが、どこから書けば良いのかわからなくて結局書きませんでした。
僕は森絵都の児童文学が大好きで、こうして一般の文芸作品も読むのですが、正直なところこれまで読んだ一般文芸の長編はパッとしないものが多かったんですよね。でも、『この女』はまず形式が面白いし、内容としても満足できるものだったように思います。ところで、森絵都先生は作中で文学を取り上げることが多いような。今回はプロレタリア文学を取り上げていませいたが、以前読んだ短編では、何か古典作品を取り上げていました。和歌集だったように思います。卒論を代筆する話だったと思うのですが、詳しいタイトルが出てきません……。
中村航『絶対、さいきょうの恋のうた』
めちゃくちゃ甘い恋愛小説を期待していたのですが、そうでも無くて拍子抜けしてしまいました。エンタメとしても、純文学としても、中間小説としても中途半端な感じがしてしまって、どこに向かいたいのかが最後までよく分からない小説でした。
でも、先輩の家で鍋をするシーンはなんだか単純に羨ましいなと思いました。僕も、先輩の家でよく鍋食べたりしてたなあ。
まとめ
以上、僕が2月に読んだ12冊の本を紹介いたしました。
ほとんど内容の説明をしていない本もありますが、許してください。
3月も、たくさん本を読みたいと思います!